ファシリティマネジメント(FM)とは

ファシリティマネジメント(FM)とは、以下のとおり定義されます。
「企業・団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動」
※ 2018年(平成30年)1月発行『公式ガイド ファシリティマネジメント』による定義

また、当協会JFMAの定款においては、FMを以下のように記述しています。
「企業・団体等が保有又は使用する全施設資産及びそれらの利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画、管理、活用する経営活動」

ファシリティマネジメント(FM)について、身近な例を参照しながら動画で解説しています。
JFMAの活動もご紹介していますので、合わせてご覧ください♪
  ※ 下記動画は、YouTubeの 「JFMA CHANNEL」 (2024/2~) にて公開しています
  ※ 動画に掲載の試験やイベントの一部記載の日程が変更になることもございます

以下に、ファシリティマネジメント(FM)の定義について、もう少し具体的に説明します。
詳細については、書籍『公式ガイド ファシリティマネジメント』 に記載されています。

以下に、FMについて具体的に説明します。
  1. ファシリティ(土地、建物、構築物、設備等)すべてを経営にとって最適な状態(コスト最小、効果最大)で保有し、賃借し、使用し、運営し、維持するための総合的な経営活動です。
     
  2. 経営組織のなかで、事業(ビジネス)を支える4つの機能分野(人事、ICT、財務、FM)は、経営を支える基盤として位置づけられます。機能戦略に則った方針と施策により、事業を底支えする4つの経営基盤のうちのひとつです。(図表01参照)
  3. 伝統的な施設管理(管財、営繕)との違いは、次のような諸点です。
    1. 維持、保全のみでなく「より良いあり方」を追求します。「より良いあり方」には、既存のものだけではなく、新しく利用し活用するファシリティも対象となります。
    2. FMの活動の方法として、ICTをはじめFM固有技術・手法を活用します。
    3. FMは、下記の3つのレベルから現実的に対応できる総合的な経営活動です。
    1. 1) 経営にとって全ファシリティの統括的で最適なあり方を求めるFM戦略・計画レベル
    2. 2) ファシリティの最適な状態への改善を図るFM業務管理レベル
    3. 3) 日常の運営維持への合理化、計画化、定量化を目指す実務レベル
    以上の3つの活動は、事業体の置かれた状況に対応して実務的に身近なところから取りかかることができる活動です。(図表02参照)
  4. 図表03は、「FM標準業務サイクル」です。経営戦略にしたがって、ファシリティを企画、管理、活用していくFMの業務体系PDCAサイクルを示しています。
    具体的には、「FM戦略・計画」の業務、「プロジェクト管理」の業務、「運営維持」の業務を実施し、これらを「評価」する業務に続き、評価結果を受けて、FM目標の「改善」の方針を立案します。
    そして、FM戦略・計画上の改善計画については、FM戦略・計画に戻り、FM目標および計画の見直しを行います。一方、経営目標に影響する重要な課題解決が必要な場合には、経営戦略にフィードバックされます。
    こうしたFMの業務のプロセスで、PDCAサイクルを回す役割を担うのが、「統括マネジメント」の業務です。
    (図表03参照 これについての詳細は『公式ガイド ファシリティマネジメント』を参照)
     
  5. FMは、オフィスはもとより官庁および地方自治体施設、医療施設、生産・物流および研究施設、教育施設および文化施設、商業および宿泊施設、情報管理施設、交通およびインフラなど、あらゆる「施設とその環境」を対象としています。
     
  6. FMの活用によって期待される効果は、大きく分けて次のようなものがあります。
    1. 不要な施設、不足な施設、不適当な施設の使われ方が明らかになり、経営にとって最適なファシリティのあり方が示されます。
    2. ファシリティの改革、有効活用によって、経営の効率が最高度に向上します。
    3. 同時に、施設関連費用を最小に抑えることができます。
    4. 顧客、従業員その他のファシリティ利用者にとって快適・魅力的な施設を実現するとともに、組織、社会へ貢献します。
    5. 安全・安心で省エネルギーを実現し、コスト低減とともに環境問題、事業継続性にとって効果的な解決手段となります。
    6. ファシリティを通じて、モチベーション向上、イノベーションや働き方改革へ貢献することができます。

 

FMの必要性と効果

FMの必要性

企業をはじめ日本の組織体の大部分はその革新、改革を迫られており、その方法として人事リストラを強力に進めています。それは人件費が経営費用の中で最も大きく、しかも景気に関係なく生じる固定費であることによります。ところが、以下のような実態から、日本の経営にとって今日最も必要とされる手法の一つがFMです。

  1. 人件費に次いで大きく、しかも大部分固定費であり、世界でもっとも高額といわれる施設関係費については一般に殆ど関心がなく、したがってその対策も著しく遅れています
  2. バブル時代に急増した施設には多額のコストが掛かりながら活用が低調、不適切なものが著しく多く存在しています
  3. 企業はもとより、病院・学校・その他の公共・公益事業は施設依存の経営が多いにもかかわらず、施設が不合理、不経済、不適切なものが多く、経営を著しく圧迫し、経営効率を著しく低下させています
  4. 省エネルギー、環境問題等の面からも改善すべき施設が極めて多く存在しています

FMの効果

FMを導入し、適切に活用すると次のような効果が期待できます。

  1. 不要な施設、不足な施設、不適当な使われ方の施設が明らかになり、経営にとって最適な施設のあり方が示されます
  2. 施設の改革によって、経営の効率が最高度に向上します
  3. 同時に施設に関わるコストを最小に押さえる事ができます
  4. 顧客、従業員その他の施設利用者にとって快適・魅力的な施設を実現します
  5. 省エネルギーを実現し、環境問題にとって効果的な解決手段となります